
瑠璃光院にて
暑い日が続きますね。
夏休みに入って、皆さんそれぞれの「○○歳の夏」をお過ごしのことと思います。
久しぶりの「行動制限」のない夏ですが、コロナ感染対策を万全に楽しく過ごしたいものです。
さて今日は、「心と音楽」というお題で、最近私が感じていることをお話したいと思います。
先日、小4の女の子のレッスンで次に弾く曲を選んでいたのですが、私が曲の冒頭を弾いてみせると、「短調(マイナー)の曲は嫌だ」というのです。すごく素敵な曲だと私が思っても、彼女は「怖いもん!」「ぜったい嫌や~!」と。
〇〇ちゃん、音楽にはいろんな気持ちがあるのよ。○○ちゃんは悲しい気持ちになったことはないかしら?心配な気持ちは?と聞くと「ないよ。いつも楽しい!」・・・自分の考えや思いを率直にお話してくれる生徒さんなので、いつもレッスンは進めやすく、楽しく出来ているのですが、、
この生徒さん以外にも、短調の曲を嫌がる子が増えているようです。
少し考えてみましたが、最近の流行歌は短調の曲は少ないように思いますね。私が子供の頃はフォークソングが流行っていて、いわゆる「四畳半ソング」(知ってますか?いや、私の歳がバレるだけですね💦)や、ベトナム戦争の反戦歌として作られた曲もありました。平和な時代、いや、世界は決して平和ではないのですが、日本人はあまりに刹那享楽に没してしまっているのではないか、と少し心配になります。子供であっても自分の心を見つめ、音楽の中にある喜びも悲しみも感じながら、様々な感情を表現することは他人の心情を理解したり、感性を育むことに役立つと私は思っています。
楽しい音楽、それはそれで必要ですが、楽しいだけじゃ人間やっていけないのです。
楽譜の向こうにある風景や作曲した人の心情を想像する時、人として一歩奥ゆきが出来るのではないでしょうか?そしてその中で自分の人生のテーマというものも少しずつ探索しながら成長していって欲しいのです。
ピアノを弾く事は自分と音楽との対話なのです。将来生徒さんたちが「心と音楽」に行きつくと良いな…と願っています。その種をまくように感性に働きかけるようなレッスンをこれからも目指します!
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先日クラシック音楽のTV番組で、大人気のピアニスト、反田恭平さんのショパンを聴きました。その中でピアノソナタ第三番の第3楽章が大変心に響きました。聴いていて涙がでるほどでした。昨今の世界情勢への憂いをこの曲に重ね合わせてしまいました。
ショパンはロシアから制圧を受けていた祖国ポーランドを離れ、生涯戻ることは無かったのですが、晩年に作曲されたこのソナタには、祖国への思いが込められているような気がしてなりません。この3楽章はショパンの人生の回想と祈りのように感じられます。
そして感極まって今、この曲を練習中です。
私にとっても音楽は祈りです。