今日は、ピティナ・ピアノセミナー「世界三大ピアノの響きを探る」を聴きに行ってきました。
同じタイトルのセミナーは今年で3回目。今回は末永匡先生によるレクチャー&演奏で、過去2回の先生方とは、また少し違う切り口でのセミナーとなりました。
日本ではスタインウェイピアノが大変普及していて、スタインウェイこそが、ピアノの最高峰のようなイメージを植え付けられてしまっているようですが、それは大きな間違い。ヨーロッパでは音楽学校でもホールでも個性的な多様なピアノが置かれているとのことでした。
ピアノは「フォルテピアノ」から700余年をかけて発達してきた楽器。それぞれの時代の作曲家と技術者が共に進化させて、今のピアノに至っている。
バッハが生きていた時代、モーツァルト、ベートーヴェンの時代・・・過去の作曲家は現代のピアノを使って作曲していたわけではないのです。ですから、同じ楽譜から再現される音楽も違って当然。私たちはピアノで、現代のバッハやモーツァルトを演奏するのです。新しく命を吹き込むように。
左から、 ベヒシュタイン・スタインウエイ・ベーゼンドルファー
現代のピアノといっても、これがまたメーカーによって全く個性が違う。タッチ・響き・鳴らし方など、曲によって最もしっくりくるピアノを、と思ったら、色々なメーカーのピアノが欲しくなってしまう(笑)まあ、そんな贅沢なことは現実として不可能ですが・・・
「ピアノと対話しながら、響きを求めていく。味わう。自分のアプローチをしっかり演奏に出せるように。」との先生の言葉が心に響きました。
ピアノもいろいろな個性があるのだから、演奏ももっと個性的でいいんですね。
また、ドイツに留学経験をお持ちである末永先生の、日本との比較文化論のようなお話も楽しくうかがいましたが、やはり日本と欧米では、いろいろな物の考え方の出発点が違うようです。日本は「同じ」・欧米は「違う」から始まる。それは演奏のみならずピアノ教育にも当てはまること。
自分が受けてきたピアノ教育を否定するつもりはないけれど、そこから脱却し、進化しようとする意識改革が必要だと感じました。
ピアノを弾く時、自分が「こう弾きたい」という気持ちを持って弾けば、ピアノの方も語りかけてくれる。それが、ピアノとの対話です。
心にゆとりをもって、これからも響きを求めていきたい。そしてピアノ教師としても、個性を大切に、心をはぐくむレッスンを実践したいと思います。
*明日は同会場でピティナ・ピアノステップが開催されます。演奏者は三台のピアノからお好きなピアノを選んで演奏できるという、夢のような企画です。