今月の一曲はピアノの詩人と呼ばれるポーランドの作曲家、フレデリック・ショパン(1810-1849)の名曲です。
日本の梅雨の雨とはだいぶ趣が違うとは思いますが、悪しからず・・・
前奏曲 作品28の15「雨だれ」 ショパン - YouTube
1838年の冬、ショパンは愛人のジョルジュ・サンドと共にマジョルカ島に渡る。
逃避行とも言われていますが、サンドが病に侵されていたショパンを療養させるために同行した、という説もあります。
この年は異常気象で夏が長く、12月に入ると不意に冬の雨が降り始めたという。
結核に侵されていたショパンの重苦しい心情が、低音域で奏される「雨だれ」のような同音連打で表現されています。この雨は単なる冬の雨ではなく、ショパン自身の心の響きだったに違いありません。
切なく歌われる旋律、中間部では不気味に忍び寄る悪霊のような雨音が・・・しかしこの曲の終結部では、一筋の光が差し込むような非常に魅力的な音使いになっています。苦しみから解放される自分を想像したのでしょうか?あるいは、サンドとの愛に満ちた日々でしょうか。
この曲は多くの人が、自分の若き日の焦燥と重ね合わせることでしょう。
私もこの曲に非常に惹かれた時代がありました。
それにしてもショパンの曲は美しすぎますね。