きれいな音でひきましょう♪ ピアノレッスンは 想像力・創造力、そして、やり抜く力を育てます♪

メトロノームとテンポ

GW、終わってしまいましたね。私は遠出はせず、比較的ゆったりと過ごすことができました。溜まっていたお仕事も片付きました!皆さんはどのようなGWでしたか?

 

今日は音楽のレッスンに欠かすことが出来ない「メトロノーム」とテンポのお話です。

         

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私は子供の頃、メトロノームが大嫌いでした。メトロノーム=ハノンなどの指練習、というイメージでした。音楽とは到底呼べない、あの「ハノン」を毎日毎日カチカチ・・・という音に合わせて弾くのは、本当にしんどかった。速いテンポに合わせて弾くときなど、あの音に捲し立てられているように感じていました。

しかし、メトロノームのことを知ってからは、少しだけ愛着が湧いてきたのでした。

 

メトロノームはドイツのヨハン・ネポムク・メルツェルによって作られたことになっていますが、実はヴァンケルという人が、1812年に「振り子式音楽用速度計」というメトロノームの原型を作っていました。メルツェルはそれを真似し「メトロノーム」と名付け、1815に特許を取ってしまったのです。音楽家で最初に使ったのはベートーヴェンです。また、彼の補聴器もメルツェルが作りました。

それにしてもヴァンケルさんは、ちょっと気の毒ですね・・・油断大敵ということでしょうか。

 

楽譜に M.M=♩120 などと書かれているのは、「メルツェルのメトロノーム」という意味です。ちなみにこの数字は1分間にカウントする数です。ですから、M.M=♩60と書かれていれば、時計の秒針と同じ速さになります。

ご存じのように振り子の錘を下にするほど速くなります。

 

近年は、デジタル式の物も普及しています。振り子式に比べると精度は優れていると言われていますが、電池がないと動きません。レッスンでは簡単に速度を変えられるダイヤル式のデジタルメトロノームを使っていますが、自分の練習用にはドイツのWittner社の小型(携帯もできる)の振り子式「スーパーミニ」を使っています。

音が柔らかくて耳が疲れないので、楽器店で一目惚れしてしまいました!可愛い♥

でも、やっぱりデザインはドイツって感じかな。小さいながらも重厚感があります。

 

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  箱になっています。開けると振り子のメトロノームの登場です。

 

ふたを閉めた状態ではオルゴール?なんて思うかも知れませんね。手動でネジを巻くのが、またいい感じです。

んーー、やっぱり私はアナログ人間ですね・・・

 

最近の電子ピアノに組み込まれているメトロノームは様々なリズムパターンでリズム楽器のように鳴らすことが出来るものもあるようです。

クラシックピアノを学ぶには普通のピアノをお勧めしますが、電子ピアノも使い方によっては面白い練習ができそうですね。

 

メトロノームの速度は一般に

40-60      Largo ラルゴ 幅広くゆるやかに     

60-66      Larghetto  ラルゲット  ラルゴよりやや速く  

66-75      Adagi0  アダージョ  ゆるやかに       

76-108    Andante  アンダンテ  歩くような速さで   

108-120  Moderato  モデラート  中ぐらいの速さで   

120-168  Allegro  アレグロ  快速に          

168-200  Prest  プレスト  急速に            

200-208  Prestissimo  プレスティシモ きわめて速く  

と表記されています。

しかし、この意味はなんともわかりにくいですよね。

私もよく生徒さんたちから質問されます。「ちゅうくらいって、どのくらい?」「ゆるやかって何のこと?」・・・困!

メトロノームの数字によって分けるとおおよその速さがつかめるはずですが、それでも難しい。

 

時計の秒針の速さはLargoになるので、時は幅広くゆるやかに過ぎていくことになっている!?

 

歩くような速さと言っても、例えば東京人と大阪人と京都人を比べても平均的な「歩く」速さは違うそうですし(一番速いのは大阪人だとか)人間の感覚というのは皆ちがうものです。

 

小さい子供たちには、電車の「各駅停車」「快速」「急行」「特急」「新幹線」などを想像してもらっていますが、どこまでわかってもらえているかは定かではありません(笑)

 

また、19世紀に書かれた多くの楽譜(チェルニークレメンティ・ブルクミュラーの練習曲なども)に記されているメトロノームの速度は、とんでもなく速すぎる。このことについては、研究者たちによって調査されつつも、未だに解決されないテーマのひとつなのです。

例えば皆さんおなじみのブルクミュラーの「アラベスク」は原典版では「♩=152」と書かれていますが、現代の校訂版では「♩=126」と書かれているものもあります。弾くとその違いは歴然としますが、上記の分類では両方ともAllegroです。

 

このように、テンポというのは本当に感覚的なもので、同じ曲でも演奏家によってテンポは違います。弾き手の呼吸に合わせて、可能な範囲で自分に合ったテンポで仕上げていくことが大切です。

 

メトロノームはテンポを知る上で大変重宝な道具です。しかし、一曲をすべてメトロノームに合わせて練習したり、仕上げたりすることは避けなければなりません。

人間の感情や呼吸により、機械では割り切れないニュアンスを表現してこそ、人を感動させることが出来るのですから。

もちろんハノンなどの指練習はきちんと合わせて練習ですよー!

 

いかがでしょう?メトロノームに少し興味がわいてきましたか?

皆さんもメトロノームやテンポのことを知って、楽しく練習してくださいね。