Q:先日、楽器店に行きましたら「フィンガーウエイツ」という、指につける錘を売っていました。同じコーナーには「トレーニングボード」と呼ばれる指を拡げるための道具?や握力や指の力をつけるための器具も売られていて、少し驚いています。ピアノを習っている子供に、このようなものを使ってトレーニングさせることは必要なのですか?
A:「フィンガーウエイツ」は就学前のお子さんにはお勧めできません。手指がまだ弱い時に、外から力を加える訓練をすることは、指を痛めてしまう可能性が高く危険です。また、奏法や手のフォームなどにも悪い影響を与えかねません。
「トレーニングボード」は「御木本メソッド」による指の訓練で使用されています。私の教室では主に打鍵の練習に取り入れることがあります。指を拡げる訓練にも使用出来ますが、小さいお子さんには注意が必要です。するとしても指導者の下でのトレーニングをお願いします。
Q:成長してからは使った方が良いのですか?
A:非常に指が弱い・関節がグラグラする・手が小さい方などは使用することで、ある程度弱点を克服できます。私も自分自身の手が小さいので、「トレーニングボード」を長年愛用しています。私の教室では主に打鍵の脱力練習に使用します。また、ピアノが弾けない時の指のトレーニングにも使えます。
「フィンガーウエイツ」は、指導者になってからどのようなものなのかを知りたくて、自分で使ってみました。ピアノを弾く前のウォーミングアップには良いですね。しかし、指にウエイトを付けて曲を弾くことにはかなり抵抗があります。奏法が乱れてしまいます。使うとしてもハノンなど指のメカニックな訓練の曲を弾く時などでしょう。指の筋力アップにより持久力は付くと思います。またノンレガートで弾くと、指の独立には良いかな?と感じます。(個人的な感想です)ただし、指は疲れなくても腕や肩、背中などに負担がかかる場合があり、最初は軽量のウエイトから始め、徐々に重くしていきましょう。5g~30gまで段階的に調節できます。やりすぎないように注意したいですね。メーカーでは、「筋力・独立・脱力に効果がある」としています。
このような外からの刺激によるトレーニングは、奏法や手指の構造を理解し、きちんとした指導の下で行わないと指を痛める危険性がありますから、十分に注意してください。どんなトレーニングも「脱力」を重視して行うことが大切です。
ピアノ上達には地道な通常の練習が必要です。たとえ各種の指のトレーニングを取り入れる場合でも、即効性を求めてはいけません。指だけ鍛えても「音楽」は創りだせないことを忘れてはいけないですね。
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