きれいな音でひきましょう♪ ピアノレッスンは 想像力・創造力、そして、やり抜く力を育てます♪

「ばね指」治療体験記

宇治市ようこ先生のピアノ教室です。いつもブログをご覧いただきありがとうございます。

さて、3月も今日で終わりですね。

月日の移ろいは速いもので、昔から一月は「いく」、二月は「にげる」、三月は「さる」と言われ、あらためて上手い表現だな、と感心させられます。

 

さて最近読んでいるのは、「手」に関する本ばかり。なぜなら昨年の10月頃に「弾発指」(ばね指)を発症してしまい、最初に間違った情報を得た為に、およそ半年間もこの病と闘わなければならなくなってしまったからです。

今日は私がこの「ばね指」を発症してから、一昨日「手術治療」を受けるまでのお話をしてみたいと思います。

手をよく使う人や更年期の女性に多い、誰にでも起こりうる病気なので、もし発症してしまったときや、ばね指に悩んでいる読者の方に参考にして頂けたらと思い、体験談を書かせていただきます。

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音楽家の手の障害についての研究・治療の第一人者、酒井先生の著書によれば、腱鞘炎やばね指はピアニストの手の障害としてはごく少ないとのこと。私も原因はピアノ演奏によるものではない、と思っています。しかしこの本を読んで、手指の構造や機能にかなり詳しくなりました。日常のケアに役立てたいと思います。

 

 

発症

ことの始まりは昨年10月の半ばごろ、レッスンに使う「リズムカード」を手作りしようと、少し厚手の紙をハサミで切ろうとした時でした。右手親指のつけ根にハサミが当たった時に「あれっ?痛い」と思ったのです。左の指で触るとグリグリとしこりのようなものが感じられました。

翌日、さっそく近くのかかりつけ医を受診。内科と整形外科を診てくださる先生です。

先生は私の症状を診て「これ、ばね指です。治りません。」「良く動かしておいてください。」と言いました。そして何の処置もされないまま、あっけなく帰宅しました。

 

悩める日々

そうか、治らないのか・・・私も年齢を重ね、そろそろあちこちガタが来はじめる頃かしら?と悲しい思いになりました。でも、先生が「良く動かして運動してください。」とおっしゃるのだから、ピアノを弾いても全く問題ない、と弾き続けていました。

 

ところが、症状は一向に良くならず、時々何もしなくても痛むようになってきて、健康管理に月に一度通っている鍼灸院の先生に相談しました。すると鍼治療で治る場合もある、と言われ、治療してもらっていました。

しかし、これも症状はあまり良くならず、少しましになったかしら?と思ってもピアノで少し難しい曲を弾くと、また悪化するのです。

やはり治らないんだ・・・(最初に医師から言われた言葉が頭から離れない)

 

情報

そうこうしているうちに、症状はますます悪化。そんな時、Facebookで交流している東京のピアノの先生の投稿に出会いました。既に2月に入っていました。

その先生は、なんでも治療のために、「手の専門外来」に通院していた・・・とのこと。たくさんのピアニストや音楽家が通院しているのだとか。TVの健康情報の番組にも出演された人気の先生で、予約は3か月待ちといいます。

他にも「ばね指」を手術治療した方や、「ジストニア」を克服した方の投稿なども目に留まりました。

治るんだ・・・

また、ピアノの先生のお仲間にも自分がばね指であることを告白すると、様々なケースや情報を得ることができました。(なかなか他人に告白しにくいものですが、相談して良かったです。アドバイスをくださった方々に感謝します。)

 

まさか治療のために東京まで通う訳にもいかないので、インターネットで調べてみたのです。近くに手の専門外来はないかしら?と・・・

するとあったんです!全国にも数少ない「上肢の外科」がなんとここ、宇治にあったのです!

 

決意 

ピアノ教室をしているので、発表会の選曲の時やコンクールの大詰め、連弾しなければならない時などなど絶対に休むことが出来ない状況の連続です。もし手術するとしたら時期を相当考えなければなりません。結局、私の場合は年度末しかないな・・・と思い、病院に問い合わせたところ予約が約1か月待ち・・・とにかく一歩前進しなければ、と予約をしました。その頃すでにピアノでオクターブを弾くのがかなり困難になっていました。

 

 出会い

そして迎えた初診の日は、春の陽射しにも恵まれて気持ちの良い朝でした。

それでも「どんな先生かしら?」「痛い注射、打たれたりしないかな?」「手術ってどんなの?」と、不安が頭の中にひしめいています。心を落ち着かせ、身体や手を温めるためにも病院まで歩いて行きました。何度か通ったことがある病院なので少し気が楽でした。

 

いよいよ診察室に呼ばれ、挨拶をした後、先生からのいくつかの質問に答えました。

先生「発症した時、どこかで診てもらいましたか?」

私「はい、家の近くの○○医院で診てもらいました。」

先生「なんて言われましたか?」

私「ばね指ですね。これは治りません。と・・・」

先生「えーーっ!?」「あとは?」

私「よく動かして運動しておいてください。って・・・」

先生「えーーーーっ!?」×2!

 

先生はあきれた様子・・・

普通は初期症状では手を安静にするのだそうです。初期ならステロイド注射で温存療法も出来るとのこと。でも私のは、かなり進行していて指が曲がって伸びなくなってしまっているので、なるべく早くの手術を勧められました。

 

先生「手をよく使うお仕事してますか?」

私「はい、ピアノ教師です。」

先生「うわっ!それは、早く治さないとだめでしょ・・」

私「はい。できたら春休み中に・・・今、春休みなんです!!」

 

今でしょ!!」の空気が診察室に流れる・・・

先生は即、手術室に☎

「明後日は?」「いけるよ!」

春休み中の手術を諦めていたので、本当に良かったです。深く考える間も悩む間もなく、この先生を信じて治療に臨むことにしました。

先生は「日本手外科学会」に所属し、高度な先端医療に携わる「手の外科専門医」の資格を持つ方です。

病状についても、手術についても大変丁寧に説明してくださいました。先生には数多くの実績があり、お話を伺ってとても安心感をもてましたし、希望が湧いてきました。

 

いよいよ手術

さて手術当日は30分前に受付するように言われていたので、早めに家を出ました。

手術室に入る前に処置室で検温と血圧測定。そして爪を極限まで短くカットされた~!

 

そして処置室で爪を切ってくださった、とっても優しい看護師さんが手術室に案内してくださった。手術室はいくつかあって、担当医の名前が入り口に書いてある。

手術中、と緑の点灯表示があるところも・・・TVドラマでよく観るアレ(笑)いや、笑ってなどいられない。さすがに緊張感が増してきた。

 

扉を開けてもらい中に入ると助手らしい方々が「歓迎」のムードを作っている。まず手を洗い、手術着に着替える。長い髪をまとめ、ビニールの手術帽をかぶる。指1本の手術とはいえ、かなり本格的だ!

そして手術室に入るとクラシック音楽のBGM!そして少しひんやりした空気。ベッドに寝かされるやいなや四方八方から助手たちの手が伸びる!足をベッドに固定され、心肺計をつけ血圧計を巻かれる。そして点滴も入った。右腕をベッド外側の手術台に出し、あとはもう「まな板の上のコイ」(笑)先生も助手の方たちも一生懸命リラックスしたムードを作ってくださる。

腕から手を消毒し、全身にカバー。顔だけ出す。天井の手術用の大きなライトがシャンデリアのように美しく光っていた!

 

まず、リストブロック(伝達麻酔)そして先生が「頑張ってもらいますよーー」と言いながら親指付け根に麻酔の注射。「痛ーーい!」×10!

手の奥深くへ針が入り込んでいく感じ!とにもかくにも痛かったけれど、麻酔が効いているか確認後、手術がはじまった。あっという間に(5分くらいかな)わからぬうちに終了。直後から曲がっていた指先が伸びたのには驚きました!

傷パッドを貼りテーピングをし、ベッド上そのままの状態で先生が指を持って動かす。「治っていますね~」

 

治っている!

そして、手術当日から指を動かす練習をするように指導され帰宅。夕方麻酔がとれた頃ピアノも少し弾いてみました。快適です!

術後3日間ほどは、腫れたり、熱をもったりするので少し注意が必要ですが、とにかく動かすことが大切だとか。今日は3日目ですが痛みも腫れもなく、こうしてパソコンのキーボードもサクサク打てます。抜糸までは無理をしないように、少しずつ仕事量を増やしていこうかと思います。

 

感謝

今思うと、なんでもっと早く手を打てなかったのか?と悔やまれますが、やはり最初に「治らない」という情報をインプットされてしまったのが悪かったですね。どんな病気でもそうですが、「気」でコントロールされてしまう。

 

人間は長い人生の間に、自分の力だけではどうにもならないことに出くわします。時間はかかってしまったけれど、手の外科、名医に出会えて本当によかったです。感謝。

 

手術が決まってから、春休みをもう1週間取らねばならなくなったので、生徒さんのお宅にお詫びのお電話させていただきました。ご父兄の方々から、ご心配と励ましのお言葉を頂き、本当に嬉しかったです。

今年度のレッスンはこんなわけで4月2週目からになりました。七夕会の準備もそろそろ始めます。これで恒例の生徒さんたちとの連弾もできそうです。

原因不明のこの煩わしい病気を克服して、これからますます元気なピアノ教室にしていきたいと思います。

 

労わる

指が一本不自由になるだけで、想像以上に生活に支障をきたします。患ってみて初めて手の大切さを実感します。一日の終わりにはハンドマッサージをして、手を労わってあげたいものです。「おつかれさま~」と声をかけながら・・・

 

お・わ・り

 

 

以下ご参考に。。

☟ばね指とは?

http://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/3bane.pdf

 一般社団法人 日本手外科学会

 

2016年2月1日朝日新聞「時代と共に進化する社会と医療」記事 

http://www.jssh.or.jp/ippan/file/2016/asahinews0218.pdf

 

hand.raindrop.jp