秋の夜、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
今年の中秋の名月はお天気にも恵まれて、とても美しかったです。
行き過ぎる雲の間から柔らかな光が幻想的な世界を創り出していました。
そして、翌日の「スーパームーン」もくっきりと、その色を新たにしていました。
10月に入りましたが、名残の月をこの曲でお楽しみください。
ドビュッシー作曲「ベルガマスク組曲」より第3曲「月の光」です。
画像が春ですが・・・あしからず。
ところで「ベルガマスク」とは、いったい何でしょうか。
イタリアの初期バロック音楽の作曲家、フレスコバルディの組曲の中に「ベルガマスク」と呼ばれる舞曲があります。
また「ベルガモ」と呼ばれる織物や「ベルガモット」という香水などもイメージされますね。
「ベルガマスク」とはイタリアのミラノから北東に40㎞程のところにある古代都市であり、ベルガモ地方、及びその地方の住民のことを意味するそうです。
この地方に古くから伝わる民族芸能は、イタリア喜劇の原型「ハレルーキン」を生んだといわれています。仮面をつけて喜劇の道化を演じたのです。
ドビュッシーはこのことを知っていたらしいのですが、彼がこの曲を作る最初のきっかけとなったのは、ポール・ヴェルレーヌの詩「華やかなうたげ」のなかの「月の光」だと言われています。
(抜粋)
・・・・さまざまな仮面(マスク)、ベルガマスクが
楽しげに歌いながら過ぎていく
仮装の下の心は悲しみにみちているのに
・・・・
とらえどころのない、もやに包まれたような詩が、ドビュッシーを幻想の世界へと引き込んだのでしょう。
ドビュッシーは絵画や詩、異国の民族音楽・文化などから影響を受けて曲作りをしました。感覚がすごく優れていた人ですね。
五感をつかって色々なことを感じ、新しい世界を創造したんですね。
参考文献:ロバート・シュミッツ著「ドビュッシーとピアノ作品」