読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
きれいな音でひきましょう♪  ピアノレッスンは 想像力・創造力、そして、やり抜く力を育てます♪

ドビュッシーと共に異国の旅へ

学ぶ・磨く

今、フランスの近代作曲家、ドビュッシーの『版画』より「塔」というピアノ曲に取り組んでいます。

『版画』は「塔」「グラナダの夕べ」「雨の庭」の3曲からなる組曲です。

ドビュッシーが「印象主義」を確立した曲と言われています。

 

印象主義という言葉は、美術の世界で先に使われたもので、例えば、画家モネの有名な「睡蓮」の連作などに見られる光と影、混ざり合っているけれど濁っていない色彩、輪郭をぼかす、などの技法を使う絵画のことを、こう呼ぶようになったのです。

写実主義(古典主義)に対する言い方なのですね。

ドビュッシーは音楽でそれを実現した第一人者と言えます。

 

 ☟「世界名画の旅」朝日新聞社刊(絶版)よりモネの≪睡蓮≫

 f:id:yokoimapleiades:20141013143246j:plain

         f:id:yokoimapleiades:20141013143318j:plain

 

そして、『版画』の3曲ですが、

「塔」は東洋(インドネシア

グラナダの夕べ」はスペイン

「雨の庭」はフランス

それぞれ独特の民族音楽の旋法(音の素材とでも言いましょうか)を使い、当時としては斬新な技法で作曲されています。風景を浮かびあがらせ、聴いている人を、あこがれの異国への旅に誘うかのようです。

 

私は今回「塔」を練習しながら、曲が生まれた背景なども調べています。

この曲は1903年に発表されましたが、ドビュッシーが作曲するにあたって、最初に霊感を得たのは1883年にパリで開催された万国博覧会で、ジャワのガムラン・オーケストラを聴き、その音楽に魅了されたことだと言われています。

ドビュッシーにとって、東洋の音楽との劇的な出会いだったに違いありません。もともと日本の美術なども好んでいたドビュッシーですから、東洋への憧れがガムラン音楽との出会いによって、いっそう深いものになったのでしょう。この曲は構想から発表まで12~13年はかかっているとも言われます。ドビュッシーの曲へのこだわり・思いを感じることが出来ます。

 

ガムラン音楽は青銅器製の打楽器の音がバスに流れているのが特徴です。

「塔」の中に現れる2度音程のトリルの音型が、ガムラン音楽の中で通奏されているのを聴いて、はっ!としてしまいました。「うん、これだ!!」(動画最初の曲)

 

☟ご興味のある方は聴いてみてくださいね♪


インドネシア ガムラン The Art Of Gamelan - YouTube

 

「塔」と聞くと私たちは、東京タワーやスカイツリー、そう、京都タワー!、パリのエッフェル塔などを思い浮かべますが、ここでの「塔」は上の動画のトップにあるようなパゴダとよばれる仏教建築にある「宝塔」のこと。インドネシアビルマや中国、日本にも共通する建築があります。

がっしりした土台に幾重にも連なった屋根、装飾。こういったイメージを東洋の民族音楽特有の五音音階的な旋法を使い(ガムラン音楽の音階は「ベログ音階」、「スレンドロ音階」)、先にお話した「印象主義」の斬新な技法を用い、対位法を駆使して、ドビュッシーは見事に表現したのです。

曲の冒頭に現れる第一主題(スレンドロ音階による旋法)は、少し反り返って高く連なる塔の屋根を表現しているように思います。この主題は最後まで、時に形を変えながらも繰り返し現れます。この曲の中心になっている主題です。

 

私は20代の頃に、インドネシアバリ島を訪れたことがあります。そこで聴いたガムランの響きや、バリ・ヒンドゥー教の神話が素材となっている舞踏劇「ケチャックダンス」、高くそびえるパゴダが醸し出す霊験、そして人々が集う市場のざわめき、絶やすことなく供えられる花の香り、そういったものまでも、この曲から感じとることが出来ます。生きることの喜びを表現しているとさえ思うのです。

 

ずっとこの曲に憧れていましたが、好きな曲だけに、これまで弾くのがこわかったんです。でも今、弾くことができる喜びを感じつつ、精一杯美しく仕上げたい!と思っています。

 

あゝ!地上最後の楽園、バリ島にもう一度行きたいな~

いいえ、今はそんなこと考えている場合じゃなかった。

練習、練習です!

 

そしてこの曲を弾くことで、ドビュッシー先生と共に仮想バリ島ツアーの実現です(^^♪

 

 

参考文献:E・ロバート・シュミッツ著「ドビュッシーのピアノ作品」全音楽譜出版社

     マルグリット・ロン著「ドビュッシーピアノ曲音楽之友社

     吉松隆著「調性で読み解くクラシック」ヤマハミュージック