きれいな音でひきましょう♪  ピアノレッスンは 想像力・創造力、そして、やり抜く力を育てます♪

強靭な女性像をノンフィクションで

「ピアノ」は、ヨーロッパの成人男性が弾く楽器として発達してきました。ですから、日本人が(特に女性が)弾く場合はどうしても、身体能力的に無理がある場合が多いのです。今でこそ、日本人の体形は欧米の人並になってきていますが、30年くらい前までは小柄で、平均的な手のサイズも今より小さ目でした。

今日は、そんな日本女性が国際ピアノコンクールにも入賞出来るようになった、陰の立役者とも言える、御木本先生ついて書かれた本を取り上げました。

 御木本澄子先生は、昭和19年(第二次世界大戦が激しさを増す頃)19歳でピアニストとして上海でデビューしました。その時の批評が、先生の人生を決定付けるのです。

「演奏は素晴らしかったが、音が弱かった」と・・・

その悔しさが原動力となり、ピアノ教育界では誰もが知るところの「御木本メソッド」を考案、決して表に出ることなく、「フィンガートレーナー」としてピアノ指導者と連携し、多くピアニストや専門家の育成に陰で貢献してきたのです。

また、真珠の「ミキモト」の社長夫人としても奮闘します。この本は、御木本先生が戦中戦後の時代の波に翻弄されつつも、夢の実現のために、強く邁進し続けた人生を描いたノンフィクションです。

手が小さい私も「御木本メソッド」の恩恵を少なからず受けています。この本を読んで、先生への尊敬と感謝の気持ちが今まで以上に大きくなりました。そして女性としての、強く美しい生き方に共感しました。自分に課せられた人生を精一杯生きる女性。魅力的です。

「自分にはピアノがあったから、数々の試練を乗り越えられた」という先生のお気持ちは、私が今後の人生を歩む上で、心に深く刻んでおきたいと思います。

御木本澄子 幸せの旋律 ―真珠とピアノに翔けた女性

御木本澄子 幸せの旋律 ―真珠とピアノに翔けた女性

 

 それにしても、「手が小さい人はピアノを弾く資格がない」と、悲しいことをおっしゃる先生が未だに存在する。ピアノを離れての指のトレーニングに対して否定的な方もいらっしゃる。ピアノ教師の仕事とは、いったい何なのだろう。

音楽の解釈を教えることも大事だが、ピアノを弾く手をいかに育み、いかに使うのか?楽器の鳴らし方、練習の仕方、それらを教えられなければ専門家としては失格だと思う。もちろん名ピアニスト=名教師とも限らない。

それとも、スポーツ選手のように、教師、コーチ、トレーナー・・・と細分化していくのだろうか?いいえ御木本先生によって、すでに細分化されていたのだった!確かに今は、メンタルをも支えるピアノコーチから、教室運営のコンサルタントまでもが存在する時代になった。

 戦後、日本のピアノ教育がたどってきた道は「西洋音楽を日本人がやる」、という違和感の中で、試行錯誤の状態だったのだ。日本人はタイプライターを打つようにピアノを叩く「ハイフィンガー奏法」だと言われた時代があった。しかし、御木本先生は、戦前に正当な音楽教育を外国人ピアノ教師から学んでいる。アルフレッド・コルトー氏が奏でる音を目指した筋金入りだ。だからこそ、素晴らしいメソッドを編み出したのだ。すべては「耳」から始まった。

フィンガートレーニングは求める音の実現、美しい音色で演奏するためにある。決してピアノ演奏から離れたところにあるものではない。御木本先生は2004年、80歳を目前にしてメソッドの集大成である「正しいピアノ奏法」の出版に先だち、全日本ピアノ指導者協会(PTNA)が主催した講演会「はじめて明かす御木本メソッドのすべて」にて、ご自身の素晴らしい演奏を披露したという。 

正しいピアノ奏法―美しい音と優れたテクニックをつくる 脳・骨格・筋肉の科学的研究による革新的メソッド