指の訓練のための練習曲として、ピアノを弾くひとなら誰もが避けて通れない「ハノンピアノ教則本」。
ともすると、この退屈な繰り返しが嫌いだ、という生徒さんもいるかと思います。
なぜ、これをしなければならないのか?疑問をお持ちのご父兄方もおられるでしょう。
私のレッスンでは、小さいお子さんにもわかるように、練習目的を説明していますが、ここではご父兄向けに書かせていただきます。
Q:「ハノン」はどのような目的で、練習するのでしょうか?
ハノンの練習目的は
1.5本の指を一本一本動くように独立させる
2.指を均等に強化する
3.指の動きの敏捷さを育成する
一般的にはこのように考えられます。もちろんこれらは大切な要素ですが、私はこれにもう一つ付け加えたいと考えます。それは、
4.耳の訓練
ただ指を機械的に動かすだけではなく、音価(音の長さ)・音の質を一音一音集中し、聴き続けて弾くことも重要です。
教則本の冒頭には作曲者のハノン氏が、「この60曲のエチュードを毎日はじめから終わりまで通して弾きなさい(1時間で弾ける)」!!??と書いてあり、子供の頃私はこれを見て「ぎょぎょっ!」としました。昔はただひたすら過酷な反復練習をしたのでしょう。もちろん私が受けたピアノ教育も、その延長線上のものでした。しかし、現代のピアノ教育では「合理的に比較的短時間で効果が上がる方法」をとるようになってきています。スポーツの世界のトレーニング法を参考にしたり、手の解剖学や運動生理学的な研究に基いて、練習方法は進化しています。ピアノから離れての、手指の筋力アップのトレーニングやストレッチなど取り入れることもあります。
やり方が間違っていては、全く無意味になってしまうこの「ハノン」の練習を、厳しさの中でいかに楽しさをもって、飽きずに続けてもらえるか、さらに工夫をこらしていきたいと考えています。前提にするのは「音楽」です。指の「体操」で終わらせないように、と思います。
また、「ハノン」のほか、指の訓練用として「リトルピシュナ」という教本も使う場合があります。コンパクトな練習で指を良い状態に保てると感じます。中・上級者にも使える、私のおススメです。
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